【スローセックスのススメ】

「イクー!」
 女は男の背中に手を回し爪をたてながら絶頂に達した。身体が浮遊をしていて頭の中が真っ白になる。女は男にキスをし目を伏せた……。

 官能小説にあるような一文だけれど、(引用ではないです)事実で私はセックスでイッタことがない。行為の最中、「あ、イク、イク」とは口にはするが、その実それは相手を喜ばすリップサービスとその場の雰囲気づくりであり正直なところイッタことがない。

 私の口癖は【死ぬ前に一度はイッテみたい】である。
 逝ってではないことだけはご理解願いたい。よく女性雑誌などを見ると、存外、中でイッタことのない女性が半数で挿入自体は気持ちがいいが、それ以上でも以下でもないし、天国にいくような経験などをしたことはない。と、書いてあった。きっと、人それぞれの感性であり捉え方だと思うが、【イク】と一体どうなってしまうのだろう。

・気を失う
・頭が真っ白
・白目になる

 などの俗説があるが、私自身経験したことがないので信じがたい。

 どころが、最近おつきあいをしている男性とのおこないの最中、男が挿入の最中で抽送をやめ、「このまま中にいていい?」私の顔を真上から見ながらそうゆった。「え?なんで?」そんなことは今までなかったので、私はびっくりして、「なんで?」と、問うた。男はおうような声音でこういった。

「中が温かくてとても気持ちがいいんだよ」
 
 うっとりとした表情であたしの頭を撫ぜた。
 ふたりの身体がひとつになった気がしたとき、膣の方に気をやった。膣廻りの棹がリアルに感じ棹の輪郭が熱く感じた。下半身が疼く。そのせつな、腰が軽くなって、なんとも言えない浮遊感が襲った。あ、どうしよう。今までにない経験に戸惑い、私は男の背中に手をまわした。

 そうしてゆっくりと抽送を開始した男は結局イカなかった。スローセックスを試みた。と、公言した男であったが、自分は確かに私の膣内にいるときは気持ちがいいとゆったが、射精までにはもちろん至らず、途中で萎えてしまったと、律儀に話してくれた。
 
 私はとてもよかったわ。男にそう告げた。愛されていると感じたし。と、付け足した。
 それは本当だった。いつもわりと独りよがりなセックスを好む男が急にスローテンポなセックスをしたことにあたしの心が濡れたのかもしれない。



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