高木希奈先生(精神科医)が女風ユーザーの悩みに寄り添う“kinaの部屋”

「病気を患い、心細さのあまりセラピにすがってしまったんです…」(49歳、独身、優子さん)

精神科医の仕事は精神疾患かどうかの判断とその重症度の見極め、そのために必要な薬物療法を行うのがメインです。でも、病気に至ってしまう前に、誰かにちょっと心が軽くなったり晴れる言葉や優しさがもらえたら、それで自分の心が持ち直せたら。それだけで前向きに元気に生きられるものです。

このコーナーは女風を利用する皆さんのちょっとした心の保健所。今回は、女風を利用するようになって間もないタイミングで大病が発覚、あまりに急なことに驚いて心細さのあまりセラピストに期待をしてしまったという女性からのお悩みを、高木先生に聞いていただきました。 

●優子さんのお悩み●
離婚して3年ほどたち、なんだか満たされない気持ちもあって去年から女風を利用するようになったんですが、乳がんが見つかったんです。最初の診断で乳房切除の可能性もあると言われ、すごく動揺しました。

周囲の女友達も心配して付き添ってくれましたが、それだけでは埋まらない不安があって…。入院前日、心の安定が保てなくなり、思わず、まだ利用して2回目くらいの年下のセラピ君に「乳がんが見つかって。明日から入院することになった。不安でしょうがない」と、いきなり重たいメールを送りつけてしまったんです。

そしたら彼が私が好きだと伝えていた花の写メと共に「手術、頑張ってね」とメッセージをしてくれて。好きな花を覚えててくれたのも嬉しかったし、なにより彼の「頑張ってね」という言葉が、たった2回しか会ってない彼のその言葉が、十年来の女友達の言葉以上に励みとなったんです。

乳房切除もすることなく無事に手術は終え、今は経過観察中なのですが、自分はもともとメンタルが強いと思って生きてきたのに、あんな弱気で重たいメールを2回しか会ったことない男の子に送ってしまったことに、いまだに後悔したりモヤモヤしてしまう時があって…自分はどうすれば良かったのだろうかと。

高木希奈 なるほどですね。まず大病が見つかった時というのは誰でも今まで感じたことのない不安に襲われて当然ですし、その不安を1人で抱えきれずに周囲に言いたくなる気持ちは当然のことだと思います。そして女友達ではなく、会って間もない彼に言われた言葉が心に響くということも、決しておかしなことではありません。
 

優子 そうですか? 会って間もない彼に言われた言葉が心に響いたのは何故でしょうか。
 

希奈 女性にとっては異性の存在とその応援がなによりも心強いものになるのも当然のことだと思います。それはやはり生物の本能的に異性を求めるものだからだと思います。でも、モヤモヤしているということは、その彼とは、この出来事がキッカケで不仲になってしまった、ということなのでしょうか?


優子 いえ、不仲にはなりませんでした。ただ、そのメッセージをやり取りした後、入院中にふと「もしかしたらお見舞いに来てくれるかも」という淡い期待を抱いてしまい、その思いに捉われ、かえって少し苦しくもなったのです。それに結局、お見舞いに来てくれなかったことで「当然よね、そんな関係じゃないし」と、寂しさや虚しさに襲われました。また、退院時にした「無事に退院してきました」とメールについてはサラッと返事がきただけで終わりました。
 

希奈 そうでしたか…。人間は何かを得られるとさらにもうひとつ欲しくなる生き物です。困った時のメールに嬉しい返事がきたら、その後もまた同じようなやり取りが続くと期待してしまうでしょうし、心身ともに弱っている状態で、さらにわりと時間に余裕もある入院生活においては、お見舞いを期待してしまうのも当然ですよ。私が個人的に感じたのは、その彼はとても誠実な方なのではないか、ということです。
 

優子 そうですか。どんなところに誠実だと感じましたか?
 

希奈 まず、これから手術に挑まなければいけないという一番心細い時に勇気づけてくれたということ。そして優子さんの淡い期待を彼は知ってか知らずか、結果的に“客もしくはお客様とセラピストという関係性の線引きをしてくれた”ということです。適正な距離感を保ってくれたというか。

また、退院後のメールも淡白で、優子さんにさらなる期待を抱かせないようにしたり、依存させるような言動をしなかった点ですね。


優子
 そうですね。線引きをしてくれた、というのはものすごく感じました。
 

希奈 はい。もしその彼の商売っ気が強かったり、弱みに付け込んで自分に気を持たせようなどという魂胆があったとすれば、退院後にいくらでも心配を装って次の予約を持ちかけてきたり、定期的に会おうとすることは可能だと思うんです。
 

優子 そうですよね。実際に私は、退院した後だからこそ、性欲的な発散というよりも、彼に「よく頑張ったね、お疲れ様」というような言葉を目の前で言って欲しかった。
 

希奈 はい。もし予約してその通りの言葉をもらえたら、きっと優子さんの中ではもっともっと彼を欲しがってしまうと思うんです。ですので、よく線引きしてくれたなと思いましたよ。
 

優子 その彼はセラピストをする前はある種の接客業をしていたようで、男女の色恋の行方もよく見てきたようで、それに辟易したこともあったと言っていたので…彼がうまい具合に私の気持ちにセーブをかけてくれたのかもしれないですね。
 

希奈 はい、そうなんだと思います。ですので「あの時なぜメールを送ってしまったのか」を思い悩むよりも「彼があの励ましのメールをくれたから手術を乗り越えることができた」と前向きに考え、その彼と自分の勇気にも感謝するという気持ちでいいと思いますよ。
 

優子 ですよね! それに彼がそう線引きをしてくれたことで、「他のセラピストも試してみようかな」と思えて、別のいいセラピストとも出会えるキッカケにもなりました。
 

希奈 そうでしたか。そのように対象を分散させるのはいいことだと思います。それから、セラピストだけでなく恋人のような存在を見つけてみてもいいのではないかと思います。
 

優子 はい、そうなんです! 去年くらいから恋人を見つけようと色々と活動中です。でも、なかなかセラピストのようなときめく男性がいないのも現実です。
 

希奈 それはよかったです。私が言いたかったのはそこで、女性向け風俗のように、恋人のような振る舞いをしてもらったり、ベッド上の関係になったりすることに対してお金を払うということは“ひとときの夢を買うこと”だと思うのです。  

セラピストはルールに則った上とはいえ女性の願望を叶える存在で、疑似恋愛をしたいという思いを叶えてくれたり、性欲発散や性感帯の開発を行うことに長けたプロフェッショナルなんです。それを生業としていない一般男性にセラピストと同じような行為を求めるのは酷だと思います。

優子 そうなんですよね。それもわかってはいるのですが、なかなかいい人に出会えず。

希奈 それも当然だと思います。男女ともに、年齢を重ねれば重ねるほど、お互いが求める距離感や関係性でいられる良好な関係を築くことは難しくなると思います。それは言わずもがな、30、40代以上あたりから独身者が圧倒的に少ないからです。
 

優子 そうなんですよね…。

希奈 でも、女性向け風俗を利用するようになって、利用する前となにか変化はあったのですか。
 

優子 はい、変化はかなりあります。一番は下着だとか洋服だとかに気を使い、エステサロンに行くなどして容姿に磨きをかけるようになりました。元から小綺麗にしておこうとは意識していましたが、今では人生史上、最も美意識が高い時期とも言えるかもしれないです(笑)。女友達からも「綺麗になったね」と言われるようになりました。
 

希奈 それは素晴らしいですね。ホストに依存してしまう女性の成れの果ては、クラブに行くお金を得るために風俗で働くようになり、ギリギリまでホストに貢ぎ、最終的には自分自身にお金をかけなくなり、身なりさえ整えなくなっていくという話を聞いたことがあります。

やはり「セラピと会う日は綺麗にしておこう」と思える前向きな気持ちや、女性として至極真っ当な自意識が保てる状態でいることが一番だと思います。


優子
 たしかに。離婚して身軽になって、女風に出会って女らしくなって。今のところ、良い方向に向かっているのかなって気がしてきました。
 

希奈 はい、いまお話を伺った限りでは、悪い方向にはまったく向いてないと思います。女性向け風俗の利用は基本はエンジョイすることだという意識さえ忘れなければ、良いと思います。

優子 はい、ありがとうございます! あとは早く彼氏が見つかればいいなって思います。
 

いかがでしたでしょうか。貴女も高木希奈先生に悩みやモヤモヤしたことを聞いてもらいませんか? “kinaの部屋”に行ってみた〜い。という貴女はコチラまで(info@kaikan.news

髙木希奈先生
諏訪清陵高→聖マリアンナ医。精神保健指定医、精神科専門医・指導医、認定産業医。美女医による医師監修&コンテンツマーケティング「Bijoy」を運営する(株)メディアド代表。予防医療研究協会理事。著書「あなたの周りの身近な狂気」等。
https://twitter.com/psycho_joy_kina



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