ホストの本音を凝縮、話題作『ホスト万葉集』発案者の手塚マキ氏インタビュー! 女風についても聞きました

約240店舗のホストクラブがひしめき5000人ものホストがしのぎを削る歌舞伎町。新型コロナウイルスの出現で最大の危機が訪れ大打撃を受けるも、どっこい生きてる歌舞伎町に関するとっても良いニュースです。

 

7月に刊行された『ホスト万葉集』(講談社)はSNSなどで話題を呼び、8月に朝日新聞に取り上げられるとAmazonの書籍ベストセラーランキングで1位に上り詰めた話題の新著です。

 これは歌舞伎町で働くホスト達75人ものホストが詠んだ300首を収録した歌集。歌舞伎町商店街振興会組合で常任理事を務め、6店舗のホストクラブ を経営する「Smappa! Group」の会長、手塚マキによる呼びかけで開催されたホスト達の“歌会”で詠まれたものなのです。


ホストとセラピスト、それは女性を相手にした似て非なるサービス。女性向け風俗ユーザー1年になるキャシーさん(Cathy)は、『ホスト万葉集』を見るや否や強烈に惹かれ、一気に完読。そして「自分のこれまでの女風体験を詠みたい。その思いを短歌にしたら、ままならない思いが昇華されるのではないかしら…」という思いひとつで、その晩、たった一人で130首を詠みあげ、その後も継続して詠み続けているそうです。

 

なんて熱い思い! これはもう、『ホスト万葉集』発案者の一人で著者の手塚マキ氏に直撃インタビューするしかっ! ということで、女風ユーザー、キャシーが手塚さんに直撃です。

 

――『ホスト万葉集』とても良かったです! 女性相手に、そして同僚や先輩らにも揉まれながらも生き生きと働くホストの姿が目に浮かびました。本の発売後、反響は大きかったのではないですか?

 

「いやー、メディアさんからの取材はすごく受けるし、本の売上も好調なんですが、肝心のホストクラブの売上には全く繋がってません(笑)。まあ、夜の街では銀座の方が壊滅状態と言えるほど悲惨で、対して新宿は常連さんはボチボチ戻ってきたという感じでしょうか。でも、コロナ以前に溢れていた、物見遊山のような一般のお客様は戻ってませんね」

 

――なるほど。手塚さんはホストも教養を身につけるべきだと読書会を開催され、読書会の次は歌会もやろうということで皆さんで短歌を詠むようになったんですよね。

 

「最初は歌人で小説家の小佐野さんの歌集「メタリック」の出版イベントでホストに短歌を詠ませる機会を設けたんです。そして小佐野さんが選者に歌人の野口あや子さんや、あの短歌ブームを巻き起こした『サラダ記念日』の俵万智さんにまでお声かけて下さって歌会を定例化したのです。いざ書籍化となった時に、百人一首は歌人たちによるもので100首だけど、万葉集は貴族に官人に防人など様々な身分の人間や“よみ人知らず”の匿名の歌もある。歌人でもないホストが詠むのだし、100首以上揃ったんだから万葉集だよねーってことになって。実はこれは900首以上から厳選した300首なんです」

 

――すごい! でもなぜ短歌を詠ませようと思ったんですか?

「ホストと短歌の世界はつまり似ているんですね。飲み屋の会話のいい間違いが肯定される曖昧さと短歌の表現の曖昧さもリンクする。例えばギンガムチェックのシャツを着た女性がいて「ビームスのギンガムチェックを着た●●ちゃん」って言ったって短歌にならない。

 でも「君が着てるマス目で色を白黒させて僕と勝負する?」みたいな、そんな曖昧な表現ってホストの日常会話ではありふれてる。LINEのやりとりにしても心の機微を汲み取ったり。そんな、実は中身があるようでない、だけど心の機微に触れる表現、これぞまさにホストには打ってつけだと思いました。ホストに短歌を読ませたら面白そうだと」

 

――なるほどですね。『ホスト万葉集』の中で私が最初に心を打ち抜かれたのは、こちらです。

 

引き寄せて 抱きしめキスして 見つめ合う 視線の先の 君は誰なの?(霖太郎)

 

その場ではホストとお客が1対1だけれど、お客はホストには他にもたくさんのお客がいることを知っている。ホスト側も、今接客しているその人がこのまま通い続けてくれる保証もない。「視線の先の君は誰」には、その場限りのとても刹那的な愛を感じました。

 

「でも実は書いてる当のホスト達はそこまで深く考えてない。“あんなやりとりあったな”って瞬間瞬間を彼らの視点で切り取ってて、中には“だりーな”みたいな感じで書いてる奴さえいる(笑)。そんな一句を選者の俵さんだったり、今みたいにキャシーさんが深読みしてくれる。そもそも短歌は恋文の代わりとしてやりとりされたものでもあるんだし、一流のホストたるもの、即興で一句や二句作れないんでどうするんだっていうね(笑)」

 

――実は手塚さんには私の歌も見てほしいんです。女風に行く前のときめきや施術中の高揚感、帰り道の切なさ…あらゆる心の揺れを短歌に表現したんです。見てもらっても、いいですか?

 

「おお〜。いいですね! ぜひ見せて下さいよ!」

 

#016 ネクタイとフェイスタオルにしてやられもう許してと泣いた如月

 

「ワハハハ! これはやばい(笑)! タオルで縛られたんスか? こういう想像を膨らませるのはいい。でも“縛られてる〜許して〜泣いちゃう〜”って中で、急に“あれ? 如月?”って我に返って2月が出てきちゃうのがやばい(笑)。縛られながら“あれ? 2月だ!”って気づいたの? すげー狂ったいい歌ですね!」

 

――狂ってる、いただきました〜(笑)。こちらもお気に入りです。

 

#125 施術後に飲むシャンパンの栓自分で開けようとして待て待てわたし

 

「なになに? シャンパンの栓、自分で開けたっていいじゃん(笑)! だったらこう“シャンパンの 栓を自ら 開けながら 覗かれたのは心か体か”みたいな、栓を開けながらも施術中に身も心も明け渡してしまった切なさや戸惑いとかを歌えばいいんですかね? ってか、これはなんの取材ですか(笑)? 短歌のダメ出しをする取材なの??」

 

――そうです! ありがとうございます! あとお伺いしたいのは、最近ではホストからセラピストに移行される方も多いのですが、そんな流れをどう思われますか?

 

「そういうホストは昔から一定数いますよ。ホストは一般的には女性相手がメインの仕事かと思われていますが、実は同僚や先輩などとの人間関係やそこで人望を得られるかも女性以上に大事なんですね。そういった野郎同士の連携プレーが苦手だったりする奴が、同じ女性を相手にした、ホストとは似て非なる女性向け風俗に流れる動きは昔からありました。逆に個人プレーが苦手だって奴がホストにくるってケースもあるし」

 

――なるほどですね。手塚さん的には女性向け風俗に行く女性をどう思いますか?

 

「え、女性の皆さんはガンガンに女性向け風俗に行くべきじゃないですか? 無理に行く必要はないけど、気になるなら一回は行ったら?って思う。性風俗店が良いか悪いかって議論は置いといて、性について楽しめる場が女性の方が少ない状況の中、女性向け風俗店が増えているということは、女性が性に対し主体的に楽しめる場が認知され広がりを見せているということですよね。ガンガン行った方がいいでしょう!」

 

――自己肯定されたようで嬉しいです〜。でもこう、世の夫や彼氏は、男は風俗に行ったとしても自分の妻や彼女が風俗に行くことをよしとしないじゃないですか?

 

「それは男も女も同じでしょう。女性だって自分の夫や彼氏が風俗に行くことをよしとはしないでしょ? だから自分の妻や彼女には勝手に行ってくれって感じですよ。聞きたくはない。いや、べつに聞いてもいいけど、それについて対応しなきゃいけないのがイヤだ。

 

やきもちを焼くべきなのか、もっと行っちゃえよって急にラディカルな夫婦や恋人同士みたいになるのもイヤだし。自分の性欲や、仮に夫や彼氏で満たされない何かがあるなら、それは男も女も勝手にやればいいって思います」

 

――風俗利用は男女ともに、お互いがきちんと隠しあえばいいってことでしょうか。

 

「結局、結婚とか夫婦っていうのは社会性の話でしょう。社会的通念で“オタクの旦那さん浮気してますよ”って言われるのがイヤだし、それで心乱されるのがイヤなだけですよね。バレない、知らないということは、ないのも同じこと。だからこそ男も女も最大限、浮気なり風俗利用なりはバレないことを鉄則とすればいいんじゃないかと思いますけど」

 

――一方で、ホストの世界と同様に女風界においても、お客がセラピストに恋したり沼る状況もあります。沼る女性にかけるアドバイスはありますか?

 

「女性向け風俗はホストの恋の駆け引き的なものをすっ飛ばして性欲やその時に足りない何かを満たす即効性のある特効薬みたいなもんだと思うんですよね。確かに駆け引きなくいきなり肌を見せるという点では、女性は男と違って誰にでも見せられるものではないだろうから、ハマりやすい要素はあるとは思う。

 

お金あって受けられるサービスなのだから、当然、お金に余裕があることが大前提ですが、お金さえあれば会いたい時に会える、しかもこちらの主体で。その辺のお互いの都合をすり合わせて会う彼氏より全然都合よく便利でラッキーじゃないですか? 付き合ったら面倒なこといっぱいあるでしょう。その面倒が一切なしに呼べて、しかも二人きりで過ごせてというのは、これ以上なく都合のいい存在として便利に利用するのがいいと思いますけど」

 

――でも、やっぱりホスト一名に対しお客は多数という状況と同じで、そのセラピは「私だけの存在じゃない」ことにどうしようもない辛さを感じることもあって…。

 

「その心境は『ホスト万葉集』の短歌でもいくつか書かれてますが、恋をしてるのはお客だけじゃなく、ホストも同じです。魅力的なホストはゴマンといる中で“いつこの女性の心に別のホストが入り込むのか”だとか“俺はこの女性をお客様だから好きなのか、それとも女性として好きなのか?”とか“お金をもらっている以上は仕事だと割り切ろう”と葛藤するとか。ホストをやめてお客様と一緒になって、幸せな関係が続く人もいれば一緒になった途端に破綻なんてケースもあります。そういうのを見ていると、じゃあ女性が望む“私だけの存在ってなんだろう?”って思う。一生手に入らない幻想なんじゃない?って」

 

――ホストもお客さんに恋をする、というのはなんだか意外です。

 

「しますよ、それはセラピストも同じじゃないでしょうか? お客様からのリピートが欲しくて誠心誠意込めてサービスに挑むんですよね? でもリピートが入らなければフラれたも同然。“あれ、あんなに喜んでいたように見えたのに、なぜ?”みたいなね。実は今日はこの取材の前は歌会をやっていたのですが、こんな一句も出てきました。

 

君の言う 「行きたくない」は 「寂しい」の だったと気づいた 時には遅い

 

これって男女の恋愛のすれ違いから生じる別れそのものじゃないですか? ホストはこんな感じで、毎日お客様に恋してはフラれてる。きっとまあ、セラピストもそんな思いに葛藤しながらお客様の一番になるために、日々をやり過ごしているのだと思いますよ」

 

――ありがとうございます。ホストの歌会、ぜひ続けてほしいです。今後も何か新しい動きはあるのですか?

 

「実は『ホスト万葉集』の第二弾の制作のため、歌会で出てきた短歌を選定中です。第二弾はコロナ禍で自粛中の歌舞伎町で、お客様と会えないながらも心を繋ぎ止めようとするホストの心境や、もどかしさ、そんな歌が多いように思いますね。ぜひ読んでほしいです。そして『ホスト万葉集』の中で繰り広げられる惚れた腫れたの世界を、一度はぜひ皆さんにも覗きにきてほしいなって思いますね(笑)」

 

ただいま『ホスト万葉集』は第二弾を鋭意制作中で年内には発売予定だとか。
ともあれ女風ユーザーの皆さん。日々、楽しく女風を利用する中でも満たされるだけでなく、揺れる思いや切ない思いを抱えたりすることもありますよね。そんな時はキャシーさんと一緒に「#女風短歌」ぜひ詠んでみませんか? 『ホスト万葉集』に対抗し「女風百人一首」なんてどうでしょう。短歌を詠むことでなにか心が整理されて、今日を、明日を、より心地よく繋いでいくキッカケになるかもしれませんよ。

 

 

 

 

 

 



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