kaikan小説1|~こんなのはじめて~

30歳。独身。
と、ここまではまだいい。あたしのまわりにも大勢とはいえないけれどそれなりにいる。しかし……。大きな声では絶対にいえないこと。

あたしは生粋の処女なのだ。
もちろんキスもしたことがない。憧れはあるし、夢の中に至ってはたくさんのイケメン(芸能人とか、会社の中村部長とか、宅配の人とか)と乱れに乱れた。朝起きて陰部から愛液が滲み出ていたことなど幾度もある。男性でいうところの『夢精』だろうか。こんなに性に貪欲で興味もあるのにどうして今まで処女だったのだろう。と、最近とても強く思うようになった。

女子校育ちで女子大にいき、あげく三人姉妹の次女と来て両親は離婚をし母親に引きとられた。あるていどのお嬢様で(祖父が会社経営)門限もきつく男性の入る余地などまるでなかった。そんなこんなで処女のままきてしまった。

「ねぇ、みさ!」

「ん?」

同僚のようちゃんと社食でお昼をとっている。ようちゃんは快活で華奢だし顔がなにせ小さい。あたしとは真逆だ。性格も容貌も。

「あのね、あたし最近ハマってるものがあるんだ」

ようちゃんは少しだけ声のトーンを落としつつあたしの耳のそばで話し出した。社食を見回す。もうほどんどの人は食べ終わってどこかに散らばっている。

「え? なに。なに。今度は」

ようちゃんの『ハマり』は毎週変わるので。つい口にする。

「そうそう。今度はね……」

まあどうでもいいことが多いので気もそぞろだ。けれど今回だけは興味をそそられた。

「女性向け風俗店があるのよ!」

あたしは、うむ? と唸ってから首をひねった。今日の社食はB定食の唐揚げ定食だ。ようちゃんの唇は油ぎった唐揚げでテカテカしている。

「でね、あたし毎週お気にをね呼んでいるのよ」

ようちゃんは前のめりになって付け足した。

かいつまんでいうと、最近女性のためにある風俗店が流行っているとゆう

女性が男性をホテルないし自宅に呼ぶとゆう逆デリヘルとゆうことだ。ようちゃんは自分の気に入りとゆう『ゆうま』とゆう性感ホストの写真をスマホ越しに見せてくれた。

「わ!」

思わず声をあげてしまった。

「でしょ?」

「うん」

あたしたちは声に出さなくても会話が成立していた。『ゆうま』とゆう画面越しの人は王子様のような顔立ちで俗にゆうイケメンだったのだ。

「この人がきちんときてくれるのかな?本当に?」

あまりにも信じられなくて再度確認をしてみる。ようちゃんは、もちろんよ。でなきゃお金払ってまで呼ばないわよ。あはは。結構大仰に笑った。余裕な笑顔はあたしに安堵と勇気をあたえた。

「ふーん」

興味希薄そうにしてみたけれど、興味深々でサイトのアドレスを脳内にインプットし、「あ、ちょっとトイレ」と、立ち上がって、トイレに駆け込むや否や、サイト名を打ち込んでサイトを早速観覧をした。時間がもうあまりなく《お気に入り》に登録をしスマホをスカートのポッケにしまいようちゃんのもとに戻る。

「さあ、行こっか」

ようちゃんの掛け声と共にあたしたちはお昼からの仕事に戻る。こじんまりとしたあまり光のささないオフィスに。

あたしはきっと今日仕事が終わったら早速電話をするだろう。

そう考えるだけで下半身がうずうずと疼く。

午後からの仕事はいつもやる気がないのにやる気になっていた。データ処理があたしの仕事。

あたしだっておんななんだもん。はじめての感覚にうっすらめまいをおぼえた。

仕事が終わりコンビニに寄って缶チューハイと唐揚げ弁当を買って帰路を急ぐ。お酒は毎日飲んでいる。お酒がないと眠れないのだ。さみしいのだろうか。ようちゃんから聞いた出張ホストのことが気になって夜空に神々しく大きくなって存在を誇示している満月など見向きもしないでカギ穴にカギを突っ込んだ。

毎日毎日パソコンと対峙している仕事なのでなるたけうちではパソコンを開きたくなかったけれど今夜は違った。先ほどお気に入りに登録したスマホの画面を開き、パソコンに名前を打ち込む。

小さい画面よりも大きくうつしだされた『出張ホスト』たちはおどろくほど鮮明だったし、リアルだった。

ブログを書いているホストも多数いてその中でも好きな物お酒一般。と書かれた【アルト】とゆうホストに興味を惹かれた。

年齢は31歳。175センチ。70キロ。趣味は酒。あたしは最後の酒のあたりで缶チューハイをおもわず吹き出した。

口元だけを隠している写真。けれど見るからに好感が出来る顔に違いないと感じた。趣味も好きな物も酒だからだろうか。共感する部分が同じだとゆうところでかなり安心感がある。あたしはざっと彼のブログに目を通し、お問い合わせメールでアルトさんを呼びたい旨を伝えた。

メールでの対応は迅速で早々と会う日にちが決まり場所も、時間もあたしが指定したところになった。

一人暮らしだけれど最初はビジネスホテルにした。ようちゃんにいたっては二回目からは自宅にしたと言っていた。

年齢にそぐわないけれどチエックのミニスカートと黒色のダボっとしたパーカーにした。スカートなど滅多にはかないので足元が心もとない。あたしは多分、いやものしごく緊張をしている。

ホテルはツインに一泊でとった。先にホテルで待つ。心臓がバクバクなって落ち着かなくて喉がいやに渇く。買ってきたペットボトルのお茶の蓋をあけ渇きを潤す程度に口に含む。初めての体験は後10分後には始まる。あたしはまたお茶を口に含んだ。

「こんばんは」

夜の7時。
ぴったりに来たアルトさんはネットから飛び出してきたように軽やかに挨拶を交わし、笑顔のお面を貼り付けあたしの目の前にあらわれた。

「あ、わ、あっ、」

言葉が喉に突っかかってうまく声が出せない。じっとあたしを見つめる彼は予想以上にイケメンだった。とゆうかイケメンすぎた。

「よろしくお願いします!」

「あはは。こちらこそ」

緊張しすぎると声も出なくなるんだな。そんなことを思う。あたしは一応言っておいた方がいいだろうな、とゆうことをまず切り出した。はーっと息を吸う。

「みさです」

「はい。みささんですね」

すぐに返されてしまい、わ、女慣れ、と思ってしまう。なので続けた。

「あのぅ、きっとあたしのような女性はいないかと思います。メールでも書いたのですがあたし処女なんです。で、キスもしたことがありません……、な、」

「え? それがどうしたの?」

なので、いいのでしょうか。とゆう言葉は遮られてしまいあたしはいつの間にかアルトさんに抱きしめられていた。

「あっ」

驚いて声を上げる。ムスク系の匂いに包まれる。アルトさんはとても華奢に見えたけれど胸はかたかった。男性の胸ってこんなに温かいんだ。あたしはすでにうっとりと満足だった。

「シャワーをしてきて。部屋はね暗くしておくから。安心して」

「はい」

頭の上に優しい声が降ってきてもう安心感しかなかった。ここで恥じらっても仕方ないしなにせ今はあたしとアルトさんだけだ。たった二時間の恋人。

シャワーから上がると清潔な真っ白なシーツに赤色のバスタオルが敷いてあった。

「裸でうつ伏せになってね」

「あ、はい、」

ちょっとだけ恥じらいつつも誘導されて裸体のままうつ伏せになる。

真っ赤なバスタオルからもムスクの匂いが鼻梁をかすめる。ああ、もうどうにでもして。あたしは身体の力が抜けてゆくのを肌で感じた。

「リラックスしてください。僕に身を任せて」

あたしは顎だけを引きうなずいた。オリーブオイルをベースにラベンダー油を調合したマッサージオイルが背中を滑ってゆく。アルトさんの手はとても柔らかい。まるで女性の手のように。ゆっくりと背中を滑ってゆく手が意地悪に胸スレスレのところを何往復もしている。

「あっ、」

あたしは腰を少し浮かしつつ声をひっそりとあげた。躊躇なくお尻を撫でてゆく魔法の手。あたしの子宮はかなり疼いている。お尻の割れ目にオイルが垂れる。吐息は甘みなものに変化をしてなすがままに愛撫をされた。

「おもて向きになってね」

腰をくねらせうつ伏せから仰臥の体勢になる。空気にさらされた乳首がトントンに尖っていて痛いほどだった。

「わ、みささん、乳首がピンクだ。かわいい」

そんなことをさらっといいながら愛撫を執拗にされるも全く痛くないしむしろくすぐったいくらいだ。陰部は腫れ物にでも触るようとても優しく指先で突かれた。

「あ、そ、そんなぁ」

おしっこがしたくなる。きっと豆を弄っている。ああ、もっと。なんて気持ちがいいの。指先が上下左右にゆったりと行き来しているうちにあたしは絶頂を迎えた。人の手によっての絶頂はむろん初めてだった。愛液が太ももを伝うのがわかる。

豆がドクンドクンと脈を打ちそこが心臓になったかのようとても敏感になっていた。

膣には決して指をいれなかったのはあたしが処女とゆうことを知ってだろう。

「処女はね指を突っ込んでも破れないけれど、でもね、処女だからこそ好きな男性と行為を持ってほしいんだ」

アルトさんはそっと唇を噛む。

「あ、もちろんファーストキスもね」

キスもしたことがないあたしにそう付け足す。

「あたし、アルトさんがファーストキスの相手でもいい」

心からそう思ったので口にした。え? アルトさんは口をポカンとあけ、あはは、と、また笑った。なんで笑うのかな。だって、みささん子どもみたいなんだもん。あはは。あたしたちは気を許したカップルのようたくさん笑った。

「ありがとう」

あたしはやっと女として生きていけるような気がした。

 

______

 

「みさ、最近なんだか綺麗になったんじゃない?」

「え? わかるぅ?」

あれから二度程アルトさんを指名しその後から急にモテ期がきて今は会社の上司と密かに付き合っている。

「あたし、女でよかったよ。ようちゃん」

「はぁ?」

わからないなぁ。とゆう顔をするようちゃんもとても綺麗な顔をしている。女って男とゆう潤滑油がないと綺麗になれない。きっと。

あたしはこの先も恋愛を楽しみたいし綺麗になりたい。

お腹が空いたなぁ。もうすぐお昼のチャイムが鳴る。



 

 



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