kaikan小説2|〜あっちもこっちも〜

なにをしても物足りなく息苦しい毎日を過ごしている。生きているのか死んでいるのかもよくわからない。
惰性で仕事をし、煽るように酒を呑み、リア充そうに綴られているSNSに毒づき、あたし綺麗でしょ? みて、みて! とゆうのを誇示している嘯いたインスタの写真を見て、アホくさと嘲笑をしてみたり。
見なきゃいいのに。とも思うけれどそうゆうことをする人間を可哀想だ。病んでる。と、同じ同胞がいるんだとどこか安心しているあたしがいる。

付き合っている男とのセックスは最低だ。せめて、男が性に真摯に向き合ってくれもっとあたしを喜ばそうとゆう努力をしてくれたならば、こんな世界全滅のような絶望感を味わうこともなかろうに。

セックスの最中に

「どう? 気持ちいだろ?」

「俺のペニスはどうだ?」

「俺のこと好きって叫べよ」

行為の最中に会話を求めてくる。言葉をねだる。そうしてたまにクスクスと笑ったりする。その笑いがどの類の笑いに属するのかがわからない。
下手なセックスでも感じているふりをしているのに、男はまるでそのような思考など持ちわせてはいない。あたしが股を濡らすのは、そうゆう体質だからだ。男はすっかり勘違いしている。

けれど、そんな女の気持ちもわかっていない男でも別れたらきっとさみしいはず。身体だけで付き合っているわけではないのだから。

あたしたちはもうさほど若くはないのだ。

いつからなのだろう。と、遠い記憶を彷徨ってみる。いつからこんなに性に冷めた女になってしまったのだろう。

来週、男は神戸に出張にゆく。

あたしはスマホを手にとって、電話帳を開き、【リアリティ】に電話をかける。《プププ》リアリティに電話をするといつも《プププ》とゆう変わった音がする。転送しているからね、と、以前マサキさんが教えてくれた。キャッチじゃないからさ、切らないでね、と、付け足して。

『あ、おつかれさまでーす』

コール3回ですぐに電話が繋がってマサキさんが開口一番に口にした。あたしは、クスッと笑って

『疲れてないけど』

意地の悪い女になる。マサキさんは、あー、そーですね。ゆりさん。甘ったるい声が耳に届き

『お久しぶりね』

と、言葉を添える。

『そうですよぅ。本当に。俺、会いたかったんですよー。ゆりさんに』でたよ。でた。あたしは、マサキくんのチャラけた対応にしばらく耳を傾ける。今日はマサキくんって感じじゃない気分なの。話が一旦落ち着いたあと、そう続けた。

『え? 僕じゃあないっすか?』

マサキくんはあきらかに落胆が隠せない様子だった。一人称が『俺』から『僕』になっている。

『若くなくてね、おじさんがいいの。そして2人で来て欲しい。確かあったわよね? 2人を呼べるデラックスコース?』
『はい。ありますよ。んー、おじさん、ですかぁー?んー』
電話の向こうで眉間に指をあてがい悩んでいるマサキくんの顔が浮かぶ。かわいい顔したマサキくんにはもう何度も裸を見せている。

かわいい顔だけでまだ大人の魅力は持ち合わせていない。今はまだ勉強中だとゆう。年齢を重ねるほど女がわかってくるわ。そう諭したけれど、そうでもない男もいるから、若いときの性体験は将来においてとても大事な基盤になる。性感ホストの仕事はきっと将来的に役立つとさらにいい放った。

『わかりました。いつですか?』

『もちろん、今夜よ。自宅に来てくれるかな』

はい! わかりました。最近入店したダンディーな男性をご堪能くださいね!

マサキくんはまるでどこかのアナウンサーのよういいきって通話を終えた。
ダンディーか。別にダンディーでなくてもいいし、てゆうかあまりイカしてない方がいい。あたしは逆の期待に胸を焦がし、ハイボールを三本買って帰路を急いだ。

________

あたしは先にシャワーを浴びて寝室にお客さんようの布団を敷いてうつ伏せで待っている。
まどろっこしい前戯話などは要らない。鍵を開けてあります。奥の部屋に裸でいるので勝手に上がって勝手に始めてください。とゆう要望もマサキくんに話してある。

『ゆりさんってほっんとうに〜かわってますね』

マサキくんのときも初っ端からそうだった。最初にあーだのこーだのと私情を絡めた話をするといつの間にか打ち解けてしまい、エロティックな世界が台無しになってしまう。お互いが知ることが性感帯だけでいい。あたしはお金を払っているのだ。癒しなどは皆目求めてはいない。

夜の8時過ぎ。玄関の開く音。バタバタとゆう足音。おじゃましますー。とゆう太い男のひそひそとした声。

薄暗い部屋に人の匂いと気配を感じる。

「ゆ、りさん、じゃあ、早速施述をしていきますね。あ、僕らはシャワーもしてきていますし、ご要望に添えるよう小道具も持ってきています。アオイと申します」

声の感じだと30代〜40代前半だろうか。

「僕はマサトです。三十路です」

「え?」

あたしは驚いて声をあげ、ついでに身体も上げた。

あ、すでに裸だ。今さら、隠すこともない。けれど……。

2人を見て、やられた、と、内心で思った。マサキくんたらぁ。二人ともおっさんどころかあたしと同じ年くらいで同級会か! と突っ込みたくなった。

「あ、お願いしますね」

あたしはもう身を委ねるしか選択はなくなる。2人の性感ホストはゆっくりと手のひらで背中を撫でてゆく。パウダー性感か。粉はオイルよりも滑りは悪いが肌触りがいい。

いつもは2本の手で触られる。けれど今はその2倍。うつ伏せでわからないけれど、一人は頭の上にいてもう一人は脚の方にいる。手のひらはおもしろいようにフェザータッチを繰り返し、やはりあたしの下半身からは液体が降りてくるのがリアルにわかる。濡れやすいたち。あたしはどうしてこんなにも潤うのだろう。腰のあたりを浮かして太ももをこすり合わせる。

あっけなく仰向けにされる。目をきつくとじる。おじさんたちがしている、と妄想をする。頭の中を妄想で満たす。トントンに尖った両の乳首が同時に温かい温度に包まれ舌先で飴を舐めるように転がされる。あっ、愉悦の声がつい洩れる。薄目を開くとあたしの胸に2人の男のつむじがあった。ネロネロ、ジュルジュルと乳首を弄ぶ。ああ、どうしよう。どうしよう。尿意は快楽と捉えることができる。子宮がわななく。あたしは、「あん、もっときつく吸ってーぇ」かすれた声で叫んでいた。

一人は下半身にゆき、股のあわいにそっと侵入してくる。脚を持たれゆっくりと開いてゆく。ああ、綺麗だ、感嘆の声が聞こえ、その瞬間、割れ目を舌先でなぞられた。きゃ、また、声が洩れる。

「声、出してもいいですよ。気持ちがいい時は声を出すべきですよ」

あたしは、目をつぶりながらうなずく。それからはダムの決壊のよう声を出しまくった。陰部を攻められ、同時に乳首を転がす。デンマを充てがわれ、そのときは、2人に乳首を吸ってもらうよう懇願した。

乳首とくりとりすがリンクをし、あたしは外イキを何度もした。デンマを充てがわれるうち、潮を吹いた。クジラになった。

終わりなどない。とすら思った。快楽は永遠と続きそうだった。セックスって男が射精をして終わる。それって一体誰が決めたのだろうか? あたしは、何度でもイケるし、もっとたくさん触って欲しいし、乳首を吸って欲しいし、足の指だって一本一本舐めてほしいのに。

「あれ……」

あたしは泣いていた。あまりにも感じ過ぎて涙が出たのか涙の意味すら不明瞭でよくわからない。

「時々泣いてしまわれるお客さんがいます。女性の快楽など底なしです。男は出せば終わり。まるで女性の性の貪欲などに気がつかない。男は身勝手な生き物なのです」

なにかのハウツー本の一文を聞いているようだった。あたしの子宮はまだまだイケそうだった。

「時間だね。ありがとう。シャワーは玄関のすぐ隣よ。してきて」

2人とも汗だくになっていた。汗なのかあたしの愛液なのか。はたまた潮なのかなんなのかも混じってしまいわからない。

「ゆりさんも。お体を流しませんか?」

あたしはちょっとだけ微笑んで首を横にふる。

「狭いの。ユニットバスなの」

ありがとう。そう、気だるい声音でお礼をいい、湿ったシーツに横たわる。



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