【女性用風俗小説5】〜あなたがほしい〜

50代くらいの夫婦ってセックスをしているのかしら……。

夫と買い物にいくたびに同年代の夫婦を見るとついそう思ってしまう。
子ども達も皆成人して手が離れるとまた以前のように2人の時間がおのずとおとずれる。
子ども達が家にいたころは子どもがなにかと潤滑剤になっていて会話もまあまあ、いや、盛りだくさんあったけれど、いざ2人っきりになると会話がちっともないことに気がつく。
明日、雨だから傘持っていってね、とか、今日ね仕事先で失敗しちゃったのね、とか、やだぁ、また太ったみたい、だとか。そんなありきたりな会話しかしないし、あげくセックスもめっきりしなくなった。
そんなもやついて鬱積していたあたしを悟ったのか夫がとんでもないことを白状した。

「俺さ、風俗にいってきたんだ」

この人は唐突になにをいってるんだろうか。頭がおかしくなったんじゃないのだろうか。妻を抱かずに風俗にいってきたって。なにそれ。慰謝料、慰謝料、憤りを通り越して頭の中では一気に電卓を叩く。あたしは銀行に勤めている。電卓は左手で叩く。猛烈な速さだ。
なんて言葉を返していいのかわからずに黙っていると

「でな」と、前置きをして感情のこもってない声音で話しを続けた。

「風俗にいったなんてさ、普通の旦那ならいわないだろ。いった意味がきちんとあるからお前に聞いてほしいんだ。お前が好きに決まっているし、お前とこの先もずっといたいと思っている」

「……、じ、じゃあ、なぜ? なぜなの?」

うつむく夫のつむじのあたりがかなり薄くなっていることに気がつく。夫は今月56歳になったばかりだ。あたしは声をふるわせ詰め寄った。

「勃起をしないんだよ。てゆうか精子もでないし、全く勃たない。役に立たないんだ」

え? 思わず声が出た。全く勃たない。役に立たない。って、勃たないと立たないってなにかの比喩なの? てゆうか冗談にしてはおもしろくないし、けれど役に立たないのはどうでもいいけれど、全く勃たないなどとゆうのは非常自体だ。

「だから、お前をこわくて抱けなかったんだよ。ここのところ」

かなりの落胆気味にあたしまで物悲しくなった。ここで、いいのよ、おとうさん。あなたがいてくれるだけでいいの。そんなこと気にしないで。もう、だったら先に話してくれればよかったのに。あたしがうーんとサービスしちゃうからぁ。と、喉の先まで出かかったけれど、風俗嬢さんを前にしても勃起しなかった。などといわれてしまってあたしはかなり憂鬱な気分になる。あたしも風俗で働くか? いやまてよ。銀行はバイト禁止だ。って、違う、違う。あたしはかなり混乱をしているようだ。

「病院は? 行ったの?」

夫は、恥ずかしくていけないよ、と、自虐気味に笑う。風俗にいくまえに病院にいけよ、そう突っ込みをいれたかったけれど、なんとなく夫の羞恥心が垣間見えて、そっか、としか言葉が出なかった。

「でな」と、またなにかを思いついたように前置きをして話しだす。

「お前が寝取られる所を見たら勃つかもしれないんだ」

なにそれ? 意味がよくわからないことを言い出す夫の顔を見ると嫌に真面目な顔だったので詳細を聞くことにした。

商売(プロ)の男の人に頼むんだよ。お金をきちんと払ってさ、お前をイカしてもらうんだ。俺の前で見ず知らずの男に触って舐めてもらうんだ。浮気じゃない。俺の要望だ。風俗にいったのも浮気じゃないよな。それに付随しているんだ。わかるか? 俺の前だからといって痴態を晒すことに対して遠慮をすることなどはない。俺が望んでることだ。どうだ。いいだろ?

いいだろ? いいの? 逆に。あたしだって性欲もあるし、この先男のかわりに大人のおもちゃとか絶対に嫌だし、浮気とかも勇気がないし、いいだろじゃなくて、いいよな? と、いい切ってくれたらいいのに。

「わかったわ」

あなたの為だし、と、一言付け足しつつ心では未知なる世界に高揚をしていた。

 

___________

「これは、これは」

数日後。夫は同じ歳ほどの男性を連れて帰ってきた。

「お綺麗な奥様ですね」

男性はあたしを見るなり開口一番で世辞を口にした。うーん、慣れている。さすがだわ。これが噂の出張性感師なのね。夫からはすでに男性性感師が来ることを聞いていたので心の準備と布団の準備と部屋の準備とそうして陰毛のお手入れまでしてあった。

「まあ、お上手ね。今夜は主人のわがままですみません」

夫は、まあ、立ち話しもなんだし、と、いいながら男性性感師を部屋の中に招き入れた。子どもたちが巣立ってからリフォームしたので割合部屋は小綺麗だ。

テーブルを囲んであたしと夫と性感師はとりあえずほうじ茶を啜った。

「あらためまして、僕は、ヒカルともうします。48歳です」

性感師が名前と年齢とゆう簡単な自己紹介をした。同い歳だったのでびっくりした。なんだろう。この落ち着きは。この人は結婚をしているのだろうか。旦那が性感師だったら嫌だなぁ、と、考えていたら

「バツイチです。僕は。で、この店をやり始めました。女性だって癒されたいし、結構需要はあります。こうやって夫婦さんにも呼ばれますし。うーん、なんだろう。僕がこう2人にとっての愛液みたいなものですね」

はい、と、雄弁な口調で説明をする。

「納得」

あたしと夫は同じタイミングで言葉を発し、顔を見合わせケラケラと笑った。

「おお、仲がいい」

ヒカルさんもクククと笑う。笑い皺がかわいいと思った。

「じゃあ、えっと、旦那さん、はじめましょうか?」

「ええ」

2人の男達はアイコンタクトで号令をかけあった。

寝室に移動しあたしはいわれるままベッドに横になった。シャワーは済んでいるし、裸にガウンなので脱いだらすぐ肌を晒すことになる。夫は寝室にある鏡台の椅子に腰掛けている。いつもは空気みたいな存在なのに、今はそこにいないでくれと思う。夫の勃起が治るか治らないかの治験みたいなものだ。けれど、はっきりいってその目が疎ましい。

目をつぶっていても人の気配は感じるもので、おでこに温かい唇の温もりを感じ、ああ、はじまったんだな、と、ぼんやりと思いながら下半身を熱くする。ミントの匂いが鼻梁をくすぐる。他人の匂いを久しぶりに身近に嗅いだ。夫ではない他人の匂い。柔らかな唇は滑らかに首筋から胸へと降りてきて、ハラっとガウンがはだけた瞬間、お山の頂がトントンに尖っていることに羞恥が芽生えた。頂のあたりに気配を感じ、ああ、舐められる、と思ったときすでにおそしで頂を舌先で転がされる。ああ、声が洩れる。喉を反らし、あああ、と、さらに声を上げる。

「なんだ、そんなに気持ちいのか? なあ?」

夫の声。夫は嫉妬心なのか興奮しているのかわからないけれど、明らかにあたしをアダルトビデオしかりの目で見ている。

前開きのガウンを全部剥ぎ取られ、あたしはいつの間にか、2人の男達に下も上も舐められていた。

「旦那さん、ほら、奥さんのここ。見てあげてください。ヒクヒクって」

ヒカルさんはあたしの陰部を躊躇なく夫に見せている。あたしは、あん、いやだぁ、と、いいながら両手で顔を覆った。

「す、すごい、ダダ〜に出てる。お前こんなに濡れるやつだったのか」

乳首を抓っているヒカルさんは、夫の男根に指を差して

「あ、勃ってます!」

まるで自分のことのよう大声をあげた。夫は、おおお! と、驚いでそれでいて、あっけなくあたしの中に男根を挿入した。

「おお、これこそ、愛の結晶です」

ヒカルさんはあたしの手をぎゅっと握って、まるでお産の立会いのよう優しい目であたしたちのセックスを傍観していた。夫はひたすら元気だった。抽送も今までにないほど能動的でそれでいて愛されていると感じた。

「で、出るー!」

一気に男根を引き抜いてあたしのお腹に精子を放出させた。これでもか。とゆうほど飛んだし臭った。

夫はあたしを抱きしめ、ありがとう、と、ささやく。まだ肩で息をしていて心臓が早鐘を打っているのに。ドクン、ドクン、と。

これがきっかけで勃起がきちんと出来るようになればいいし、風俗にいってもいいとさえ思った。男はセックスをしてこそ男だし、女を抱いてこそ男なのだ。生涯現役。男であるために勃起はしないとならない。

それ以降、月に一度はヒカルさんを呼んで、プレイをすることもあれば、酒を飲んでご飯を食べていくだけのときもあるけれど、楽しい宴会を開いている。

お金を頂いているから。仕事として来ているから。そんな紳士的なスタイルを全く変えずにぶれない、ヒカルさん。

あたしにも夫にも愛おしい存在になっている。

そしてあたしたち夫婦は前よりもお喋りをするし、セックスもするようになった。



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