「ねぇ、ずっと、このまま寝てたいよぅ」
白昼からラブホテルにしけこんでいる。じゃかりこのサラダ味と、サラダチキン、缶チューハイの柚子味と、ハイボールを買って。
テーブルの上には食べかけのサラダチキンの汁がこぼれている。あたしの隣で耳を噛んで甘える人は、いつでも最後まで全部食べ物を食べない。なんでも少しだけ残す。
薄暗い部屋にところどころこぼれる細い光の光線が余計に非日常の空間をつくりだしている。
あたしは隣にいる人の頭を撫ぜ、「そうね」と、短く応えた。
「出来るならたーくんとずっと居たいわ」
あまりに短い返事だったので、ほんとうは、普段めったに口にしない台詞に胸内でひどく恥じた。
「まゆこさん、だってさ、とても好きっ」
この人は容赦なく甘えてくる。まるで猫のように。屈託ない笑顔で。あるいは子どものそれのように。
15歳も年上のあたしに。
たーくんは出張ホストだ。甘え上手だし、なんといっても綺麗な顔にシミひとつない身体。癖っ毛の黒い髪の毛。白魚のような指。
そして甘いマスクによっての苦い愛撫。月に2度程指名し呼んでいる。
「まゆこさんってさ、社長さんでしょ?」
ターくんには本当のことを話している。あたしは小さなデザイン会社の取締役だ。あたしは、そうよ、なんで? と、質問返しをした。
「僕を雇って欲しい」
「はぁ?」
たーくんは冗談か本気なのかわからないことを唐突に口にした。
雇う? それは社員として雇うなのだろうか。それともあたし専属の秘書的な感じで雇ってということなのだろうか。
あたしはクスクスと笑う。たーくんも口角を右にあげて少しだけ笑った。緩くかけてある暖房で二人とも裸だ。あたしはその綺麗な背中にそっと唇を這わす。わ、くすぐったいや。身じろきをしたたーくんの声はちっともくすぐったそうではない。
「まゆこさん、キスして」
あたしは背後から前に向き直ってたーくんの柔らかな頬を両手で持ち唇を重ねた。柚子チューハイの味とタバコの味を互いに絡めあう。なんてここちのいいキスなのだろう。薄く目を開ける。たーくんはうっとりとした顔をして目を閉じていた。たーくんの指があたしの蜜の穴にゆっくりと飲み込まれていく。あっ、少しだけ身を引き抗う。細くて綺麗な指があたしの蜜の穴に入っているということだけで下半身がとても熱い。愛液が滴るのがわかる。たーくんがちゅっぽと指を引き抜いて
「ほらぁ〜。こんなにトロトロになってるぅ〜」
意地悪な声をだして羞恥心を煽る。
「もう!」
あたしはたーくんを押し倒して胸に顔をうずめた。たーくんの下半身は全快に勃っていた。勃っているとゆうだけで至極嬉しい。あたしでこんなにも感じてくれているなんて。男性の勃起は女性の自信に繋がるのかもしれない。
「大きくなったね」
「まあね。僕若いもん」
「そうね」
それから何度も抱き合ってキスをし愛撫を交互にし最後にマッサージをし合った。足つぼマッサージがとても得意なたーくん。
「足の裏ってね、ツボがすごいのよ。知ってるでしょ?」
マッサージに必死のたーくんに声をかける。そろそろ時間も迫っている。この時間がいつまでも続いてほしい。
「知ってるよ」たーくんはいいきってから
「ここはね、性感のツボ!」と、土踏まずあたりを思い切り押して続けた。
「あん。そこ感じるわぁ」
「まゆこさん。劇団員になれそうですね」
あたしは肩をすくめ笑う。たーくんも一緒に笑っている。
甘えてもらったり甘えれる存在がいるということだけでうまく生きていけるのかもしれない。
【女性用風俗小説9】~まゆこのこい~
