kaikan小説 10 |ねぇ、すって

「お、お願いよっ、す、」

素っ裸でいるのはあたしだけで目の前の彼は正装とでもいうべきか、はたまた戦闘服というべきなのか、彼はきちんとした高価だろうスーツのままあたしの横に腰掛けている。ホテルの灯りは調光可能なの最小限にまで落とされた照明があたしを大胆にさせているのもある。

「えっ? なあに? 聞こえないなぁ?」

聞こえない訳などはない。なにせテレビだってつけていないし、地上8階の最上階。防音だって耐震だってしっかりしているホテルだ。聞こえないなぁ、と、ささやきの声をだしたとき、成瀬くんは耳の穴に指を入れた。

「もっと、大きな声でいって」

そうっとあたしの唇が成瀬くんの食指によってなぞられる。冷たい指先。長くて細く、男なのに透明のマニキュアを塗っている。あたしは、はぁ、はぁ、と息を乱しながら、自分でデンマを握って一人エッチをしている。

「い、いじわるぅ、」

公開オナニーをどうどうと披露しているにもかかわらず、どうしても痴態めいた言葉がはけない。すでに恥じらうことなどないくせに。裸になるよりも言葉を脱がす方がよっぽど恥ずかしいのかもしれない。成瀬くんがトントンに尖った乳首をつまみあげ

「わお。こんなに固くなってるよ。すごいよ。みさ子さん」

「ああ、もっと、もっとつまんでぇ〜」

腰を浮かしながらほとんどアダルトビデオ女優のように雄叫びをあげる。

「だから、舐めてって、吸ってっていわないとしてあげないよぅ〜」

とても意地悪だなぁといてもたってもいられなくなってけれどどうしても吸っての三文字がいえない。

デンマの刺激はなにせ強烈なので故意に的を外している。エクスタシーを迎えるに至っては、乳首の刺激を添えてイキたい。さあ、さあ、と、成瀬くんが言葉をねだってくる。痴態めいた言葉をどうしても引き出したいのだ。

「す、吸って、成瀬くん。あたしの乳首をぉ」

あー、やだぁ。恥ずかしくて顔から火が出そうになるも出たようで、顔と耳がとても熱くなっていた。背中に薄っすらと汗をかく。

「あっ、」

ふと、乳首に息がかかり一気に人間の体温の中に吸い込まれてゆく。ネロネロとせわしなく動く舌先はトントンに尖った乳首には刺激があまりにも強すぎる。

あたしは、今だ、と、意を決して的にデンマをあてがった。

乳首と子宮はリンクしている。うまい具合に。

「あ、イクぅ」

乳首を吸われたのが決定打になって呆気なくイってしまった。

「はやっ」

みさ子さんさ、本当にイクの早いよね、毎回同じセリフをいわれるも、まあね、と、あたしは肩をすくめた。

「デンマでさ、イクのはそれこそ簡単よ。でも、男性に乳首を舐めてイクのでは訳が違うんだ」

へー。成瀬くんは、女じゃないからわからないなぁ、とつぶやき

「男でたとえるなら、アダルトビデオみたいな感じですかねぇ?」

眉根をひそめつつ、そう付け足す。んー。あたしは唸る。そうなのかなぁ。興奮のスパイスみたいな感じかなぁ。

「あ、わかったわ」

え? なになに? 成瀬くんが興味深々な形相であたしを見つめる。

「ひ・み・つ」

あたしは指を一本差し出し唇の前にあてた。えー。なにそれー。

かわいい男の子は目の前で憤慨しているけれど、どこか楽しげであたしまで楽しくなってくる。

「カイカンを今日もありがとうね」

あたしは部屋の窓をあける。風に乗って香ってくる金木犀の優雅な香りに目を伏せる。



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