「じゃあ、先に行くわ」
「あ、はーい。お義母さんによろしくいっといてね」
おお〜。わーったよ〜。夫は、土産なにがいいかなぁ、とつぶやきながら玄関の扉を開け年末のあわただしい光の中に吸い込まれていった。
はぁ〜。行ったかぁ。
と、一息ついている場合ではない。
今日は大晦日。夫が先に実家に帰り、あたしはうちの大掃除をしてからやや遠方にある実家に向かうということを毎年している。
「いっそげー!」
あたしは腕まくりをし、ゴム手をして一気に掃除を開始する。
換気扇から始まり、窓拭き、シーツの洗濯、冷蔵庫の中身の整理。普段共働きなため、年末でしか掃除出来ないところを徹底的に磨き上げる。
そう、年末でしか掃除出来ないのはもうひとつある。
あたしの『性欲』だ。
ふと、時計を見ると短い針と長い針が天辺で重なっている時間になっていた。ジュンさんにはおととい連絡をしてある。
《ジュンさん。キヨミです。もう年末がきました。年に一度の大掃除にいらしてください。お待ちしています》
《こんにちは。キヨミさん。もちろん貴女のために時間はあけてあります。一年ぶりですね。キヨミさんにあわないことには新年を迎えれません。笑》
笑。の後にはニコニコマークの絵文字が添えてあった。
まるで織り姫と彦星みたい。そう、メールをしようとしたけれどやめた。夫と同じ職場な上一緒にいる時間が普通で一人身になるのはこの大晦日だけなのだ。
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「おじゃまします」
ジュンさんは時間通り自宅にきた。午後の1時に。1年前よりも少し痩せた感じがする。殊勝な面もちで
「やっぱり旦那さんがいる自宅っていうのは本当未だに緊張しますね」
綺麗になった部屋をくるんと見回してつぶやく。
「あたしもですよ。だって……」
そのとき、ジュンさんがささっと移動しあたしを抱きしめた。あっ、声をあげる。そうして唇を重ねた。わわ、キス。キス。そういえばキスを最後にしたのもジュンさんだった。気がする。
ネチャネチャという粘着音が部屋に響き渡る。猛烈に抱き合い縺(もつ)れ合いながらリビングのソファーに寝かされた。
「あっ、こ、ここじゃあ、し、寝室に、いき、」
いきましょう。と最後までいわせてくれず、そのまま一気に洋服を脱がされた。慣れた手つきでブラのホックを外される。あまりの俊敏な動きは女慣れしているという事実を突きつけられる。
けれど、その思考は次の瞬間なくなる。
ブラジャーからまろび出たおっぱいの先端は抗っても正直にトントンに勃起している。
「こんなにかたくして」
ジュンさんは容赦なく乳首を指先で弾きながらも片手でパンティーのクロッチをゆっくり撫ぜた。
あたしは、腰を浮かせて痺れる下半身を弛緩させる。クロッチにはシミがついているだろう。愛液の滴りが自分でもよくわかる。
クロッチをずらし、ジュンさんの指がそうっと割れ目に入ってきた。
「ああっ!」
「すごい、ヌルヌルだ!」
ただのソフトなタッチなのに指を2、3度上下させたら呆気なくイッテしまった。
「うっそ? イッタの?」
ジュンさんが素っ頓狂な声をあげる。あたしは肩で息をしながら、コクンと首を折った。いいわけのように口を開いた。いいわけじゃないけれど。
「今年はジュンさんに始まってジュンさんで終わったの。オナニーもしてなかった。だからものすごく敏感になっていたみたい。まだあそこがジンジンしていてまるでそこが心臓になったみたいよ」
「キヨミさん」
ジュンさんが名前を呼ぶ。真剣な声に耳を傾ける。
「はい」
「……、オナニーをしてくださいね。健康と若さを保つために」
「えっ?」
ジュンさんはオナニーをかなり推奨してくれた。オナニーでも女性ホルモンの活性化になるようだ。
「わかった。来年の目標はオナニーを頻繁にする! に決めたわ」
「おお、それはいい。てゆうか旦那さんと手をつなぐだけでもいいですよ」
「そうね。そうかもね」
ジュンさんが帰ったあとあたしは夫のいる実家に向かった。
新鮮な気持ちで。なぜだか夫にあいたかった。
新しい年を心地よく迎えれそうだ。
「ジュンさん来年もよろしくお願い申し上げます」
ジュンさんの笑顔はとても神々しかった。
【女性用風俗小説16】~しめくくり~
