【女性用風俗小説17】~ほんきになっても~

最初は興味本位だったし、何事にも真剣にならない性格のあたしだから性感エステというものにも絶対にハマらないという自信があった。まっ、一度は体験してみるか。そんな軽率な考えがあまかった。

なぜなら今まさに『ハマっている』のだ。性感エステに。エステティシャンの『ノゾム』さんに。

今日で5回も指名しているし、あったあとでもまた直ぐにあいたくなる。エステの癒しを求めている以上にノゾムさんの存在に依存している。

「あ〜、参ったよ〜」

あたしは参っているけれどちっとも参ってない口調でノゾムさんの前でつぶやいた。

「なにに? 参ってるの? ナナさんは?」

平気な顔をして他人事のよう訊いてくるのだから余計に参ってしまう。とにかくかわいいのだ。

「いってもいいのかな? ノゾムさんはそれを訊いたらあたしの今参っている悩みを叶えてくれるのかな?」

ん〜。それはどうだろうなぁ? 腕を頭の後ろに組んで目をつむった。たぶんきっとなんとなくは気がついている。あたしが本気で好きになりかけていることに。こんな状況はきっとよくあるだろう。一体女性側が本気になった場合エステティシャンはどう打破をするのだろうか。

嫌われるような仕草をする?

はっきりと断る?

お客さん(顧客)を減らさないために嘘恋愛をする?

「好きなの? 本気で好きになって」

「ナナさん……、」

最後の語尾は唇で塞がれた。温かい唇の温度はやや高めの37度くらいだ。長いキスのあと、ゆっくりと唾液を垂らして離れていく。

「僕もナナさんが好きです。けれど、その好きは決して『ラブ』ではなく『ライク』の方です。お客様に好かれるのが僕の仕事ですしそこで嘘をついてまでもお客様を引き止めません」

ハキハキとしているしそこにはプロとしての矜持が垣間見えてあたしは自分のいった言葉をとても恥じた。ノゾムさんはそうだ。プロなのだ。誰のものでもない。テレビでいうところのアイドルなのだ。

あたしだけのものにしたいとか、そんな軽はずみな考えを持ち合わせている時点で重たいお客さんになってしまう。

割り切ってお金を介しているのだから、割り切らないといけないのに。それでもノゾムさんはあたしにいつものようきちんと抜かりなく愛撫を施してくれるし、キスをたくさんしてくれる。

おんなならば誰しもが勘違いを起こしても仕方がないのだ。とも思う。

勘違い、かぁ。あたしはつぶやきつつ肩をすくめてみせる。

「じゃ〜ん」

目の前の彼は重たい空気の中でも決して重たくしない。じゃ〜ん、とくだけた口調で取り出したものは『電マ』だった。

「これ、試してみませんか。ホテルに備え付けで置いてあったので」

へへへ。ノゾムさんがいたずらに笑うからあたしも負けないくらいの笑顔で笑ってみせる。

「うん。したい。電マして」

「お安い御用です〜」

笑顔、癒し、恋心を一気に与えてくれる、爽やかな青年に感謝をしないといけないなぁ、と、ぼんやりと考えつつもいつのまにか、陰部に電マをあてがわれていた。

部屋に無機質な機械音が鳴り響いてあたしはどうしてだか笑いが止まらなくなっていた。



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