【女性用風俗小説33】~シメイナシ~

「ショウコさんって愛に飢えてますね。きっと」

目の前にいる出張ホストはいとも簡単にあたしの心を見透かすことをいいきった。

「だって、貪欲ですもん」

と、さらに付け足し

「それに絶対に指名しないでしょ?」

と、続ける。

指名しないって。それは全く関係なくないか? そう内心で思いながら、あ、そういえばあたしってば指名しないなぁ、と気づく。

「今度はこの僕。イチムラをぜひともご指名くださいね。ショウコさんに指名されることがないからキャストの間で『ショウコさんから指名があったらそのキャストに1000円を払うって企画があるんですよ」

は? あたしは口をあんぐりとし

「なにそれ?」

眉間にシワをよせながら訊いてみる。冗談じゃない。あたしのことをかけるなんて。そう喉の底まで出かかったけれどやめて

「ロシアンルーレットかしら」

あたしはついクスクスと笑いだしてしまう。

今回呼んだ『イチムラくん』はオイルマッサージもうまかったし、キチンと舐めてくれたし、腋の下や足の指までも舐めてくれたし、あげく潮まで吹かせてくれた。サービスは申し分ないけれど、気になったのはお腹の贅肉。キャストである以上身体を醜くしては台無し。いくら清潔感があって顔が整っていたってお腹の贅肉を見たらうんざりしてしまう。その逆もダメ。細マッチョならともかくガリガリでもぎょっとなってしまう。

「今日はありがとう」

あたしはいつもの常套句でイチムラくんと別れた。

イチムラ・カワサキ・ミナミ。

ここのところ毎週と呼んでみたけれど、3人足して割ればあたしの理想になるのになぁ、と、思ってみる。

出会ってすぐみるのは容姿だけれど最後はその人の中身だけれど決して恋に落ちることはないため愛を求めることなんてできっこないのだ。わかっている。

あたしは出張ホストから快楽を求めているのではなく、愛を求めているらしい。イチムラくんにいわれてはっきりとわかった。

正直快楽なんてものは男性から受けなくても自分でちゃちゃと処理できてしまうし下手な愛撫でストレスをつくるなら男性など呼ばないだろう。

「はぁ」

ため息がもれる。愛って一体どこにあるのだろう。快楽はお金を出せば買えるのに。

前々回の『ミナミくん』は、ネットの口コミや他の女性の親密なことまであたしに律儀に話してくれた。え? そんなこと思ってたんだぁ。ってことまで。けれど、やっぱり女の感じるツボを得ていてミナミくんには散々快楽を受けた。快楽は得ても心の快楽は得られない。か。

まあ、そうなのかもしれない。『愛』は売り物ではないのだ。彼らは『快楽』と『癒し』を売っているのだから。だからあたしは指名をしないのだ。『快楽』が『愛』に変わるのが怖いからなのかもしれないから。

『愛』を売る商売があったのならもしも。あたしは買うと思う。

愛に飢えた女はきっとたくさんいるから。あたしのように。

「今日は誰かいるかしら? 新人で入った、サワキくんって予約できるかしら?」



オススメ記事