【女性用風俗小説41】~きままもいいけど~

「いつきても、いい眺めですね〜」

今日は有給をとって午後から5時間。成瀬くんを自宅に呼んでいる。

「いいなぁ〜。だってさ、『家』を持っているなんてキャリアウーマンって感じだし」

気に入りの窓際にいる成瀬くんが、さもたのしそうに付け足す。

キャリアウーマンってそんな大層なものじゃないわ。あたしはクスクス笑い、成瀬くんの背中に腕を回した。あたしよりもひとまわりも違う、彼の背中からは優しい家庭の柔軟剤の匂いがする。実家住まいなのだろうか。それとも独り暮らし? まさか、結婚してる? 彼は出張ホストなのでほんとうの名前も知らないし年齢だって偽っているかもしれない。ただ。ただ、と素直になってみる。ただあたしは寂しいのだ。

雑誌の編集長(小さなデザイン会社)になり部下も出来人脈も広がり仕事もバリバリこなしているうちに40歳になってしまった。2年前にこのマンションを購入したとき悩んだのはよくマンションを買うと結婚が遠のく。とか昔からいわれていることで事実両親に至極反対をされた。けれど昔から『きかんぼう』気質だったので親はやれやれ顔で今ではもう何もいって来ない。たとえば『付き合っている人のひとりでもいるのか』とか『早く孫の顔が見たい』だとか。

付き合っている人はたくさんいるわ。と、こたえたら父親は目をまるくして、いやいやそういうんじゃなくて。と、口ごもったとき思わず親不孝でごめんなさい。と、心の中で謝ってしまった。

「どうして誰しもあたしのことを気ままでいいね。って決めつけるのかしら」

窓の外はすでに夕方の色から夜の色に変わろうと準備をしだす。成瀬くんの背中は華奢に見えるけれど実際男の身体。きちんと並んだまっすぐな背骨を持った大人の男。

「決めつける?」

彼は振り向き同じことをくり返す。

「そう。決めつけてるわ。世の中は」

「んー。そうかもですね〜。けど、そんなこといえば皆結婚に囚われなくてはならなくなってしまう。そうしたら僕達の仕事だがなくなってしまうし、世の中ががんじがらめになってしまう」

がんじがらめ。あたしはおどろいたしがんじがらめ。なんて言葉を久しぶりに聞いて(この若い男から)ふふふ、と笑みがこぼれた。

「そうね。自由でも、きままでも、自分次第だわ。そうでしょ?」

成瀬くんはあたしの方にむきなおり、白い麻のワンピースをたくし上げ、わりと豊満は胸のあわいに顔をうずめ指はいたずらにあたしのショーツのクロッチをなぞる。

「あ、ヤダァ」

ちっとも嫌ではないのにあたしは嬉しいとき『ヤダァ』と真逆なことをいってしまう。指は執拗にせわしなく蠢きクロッチはあっという間にぐっしょりと濡れそぼる。あわいから乳首に移動し乳首は温かな口内もてあそばれ、いやらしい声がいちいち出てしまい、ベッドにそのまま押し倒された。

窓。窓が開けっ放しだ。閉めないと。声が。聞こえてしまう。

頭ではわかっているけれどあたしは寝そべりながら窓の外に目をやる。夕方の橙色と群青色の中でカラスがサーっと横切っていった。

あら、あれ、あたしだ。きままできかんぼうで羽があってそうして真っ黒だから。

ククク。あたしはまた笑う。



オススメ記事