kaikan小説 46|おんなどうし

別にレズだとか性同一性障害とかでもない。と自覚はしている。けれどたまたま好きになった『人間』がたまたま『女』であり妖怪でもお化けでもないだけだ。性別を通り越した恋愛形態にまだ世間がおいついていないだけ。少なかなずあたしと彼女はそう思っている。

彼女とのセックスが果てがない。あるいはきりがない。女同士ツボを知り得ているし痛くしないやり方でお互いに快楽という名の形の見えないものをさんざんと与えつづけられる。ねことたち。そんな言葉があるけれどあたしたちにはそれがない。

「はー。わかんねーなぁ、でもなぁ、なくもないかな〜、でもね〜」

昼から仕事が半休になったので駅前のスタバにハヤトと来ている。ハヤトはいわゆる『代行彼氏』であってほんものの彼氏ではない。なんでも相談に乗ります。僕の趣味は占いです(なんちって)とお店のプロフに書いてあったのを気に入ってどちらかといえばバイなので月に2度ほどハヤトを呼んでいる。線の細い男の子だ。指など白魚のように細い。

新作が出たというなんとかなんとかという飲み物はあたしにはかなり甘ったるかった。ハヤトはズズズとあっけらかんに飲み干す。

「すごい吸引力だね。ダイソンも顔負けだよ」

「えーー! 俺ダイソンになった訳? たとえがウケるー」

ゲラゲラとハヤトが笑う。あたしもついつられ笑いをしてしまう。さてと、いこうか。すっかり飲み終えた飲み物をゴミ箱に捨ててハヤトはあたしの手をとってどぎつい日差しのおもてに出る。あっちー、これさ、きっと車のボンネットで目玉焼き焼けるよね、とつけたして。確かにそうだ。あたしもそう思ったから笑ってうなずく。彼女とは全く違う部類の大きな手はあらためて新鮮さを持ってくる。

「今日もローターとバイヴでいいんだよね?」

「うん。本物は要らないわ」

てゆうか本物は使用禁止です。あっそっか。うん。そう、だって俺冗談抜きで勃たないんだよね、と涼しい顔をしいう。まあ、女慣れし過ぎたのかもね。あ、変なこといっちゃったよ。と、顔をしかめる。

「いいよ。だってハヤトはそうゆうエロさをむき出しにしてないからあたしは呼んでるのね。彼女との関係はそれはそれは良好よ。けどね、時折忘れそうになるの。男の身体と男のため息を、だから___ 」

もういいよ。とでもいいたげな感じで、もうわかったからいいよ。と、話を遮る。

「人間だもん。男も女もないよ。その人を好きになった。なったのが同じ女だっただけ」

だろ? ハヤトはあたしの目をみつめた。

バイヴで散々と弄んでもらい彼女の前では披露したこともない動物めいた声をだしあたしは何回もイッた。身体は本能のままで動物じみているけれどやっぱり心は繊細で彼女でしかイケないという事実を突きつけられる。けれどそれによって彼女を愛しているんだなと確認が出来る。

「あのね、彼女といつも一緒にお風呂にはいるのね、でね、おっぱいをすり合わせて身体を洗いっこするんだよ」

「うんうん。とてもいい絵面だ。うん」

ホテルから出るとまだすっかりあかるかった。特に今時期は日が長すぎるほど長い。そして昼間のこもった熱気が否応無しにおりてくる。

「また気が向いたら呼んで」

「ええ」

なんて都合がいいんだろう。恋愛感情ではなくただ人間としてハヤトが好きだ。

「ハヤト、好き。今日は暑いのに急にありがとう」



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